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歯を抜いた話 [日常]

乱闘はしていない。

実は三日前、歯を抜いた。
根治と呼ばれる神経治療ではなく
物理的に引っこ抜いた。
なぜなら歯茎の中で歯根が折れていたから。
ただし虫歯でも、殴られたとかぶつけたとかでもなく
『食いしばり』が原因。
寝ている間に歯に圧力をかけ過ぎていたためでしょう…
というのは、私の口中を見た歯科医師の説。
そりゃそうですよね、私の歯は全部見事にすり減っていて
『食いしばり』の教科書に載せたいぐらい。
『食いしばり』の原因はストレスと緊張だそうだで
物書きのストレスなめんなよ! という感じ……
ならよかったよね。

は? 違うの? 秋川話が長い! 
すみません。暇なんです(今、暇と打とうとしたら肥満になった! がる……)

閑話休題。
普段の『食いしばり』はさておき、今回は明確に違う。
なぜなら、当該歯に嫌な痛みを覚えたのはかれこれ半年以上前、
アタリメを大量に食べたあとだった。
元々弱っていたのかも知れないが致命傷はアタリメ。
きっとアタリメ、半年前のアタリメ。硬くて旨みたっぷりのアタリメ。
で、しばらく『痛いなー』が続いたもののなんとなく治まった。
(たぶんこれ、痛みに慣れただけ)
そのあと詰め物が取れて二度ほど歯科のお世話になったけれど
その歯についてはほったらかしていた。

で、三ヶ月前、いきなり腫れて歯科に駆け込んだところ
歯根が折れていることが発覚。
歯科医は、とりあえず腫れを抑える治療をしてみるが、早晩抜くことに……と言う。
ただそのときの秋川は締め切り直前、しかも珍しく締め切りが重なっていた。
(あるのかそんなこと! と自分でも驚くがあったんですよ/笑)
長短二つの締め切りに校正がちらほら……とてもじゃないが
歯を抜いてる余裕はない。
抜歯は必至とはいえ、少しでも先に……と八百万の神に祈りまくった結果
腫れは見事に引き、抜歯の先送りに成功した。

それから、時折怪しい気配になりつつも三ヶ月が経過、
めでたく三日前に抜歯に至った。。
実は、抜歯を決めた時点では痛くもなんともなかった。
ただ今のうちになんとかしないと、とんでもないタイミングで
暴れ出しかねないという判断の下、歯科予約を取ったのである。

私の締め切りはおおよそ三ヶ月に一度やってくる。
(今年こそこのスパンを何とかしようと思っているが
それはまた別の話)
こんなに腫れていてよく平気だね、と歯科医に呆れられる私であっても
さすがに抜歯はヤバいだろうと思った。
だから、ありとあらゆる作業を前倒しして療養期間を確保した。
いつも以上に未完成の原稿を編集担当様にぶん投げ、校正をなぎ倒し
思いつく限りの家事をこなし、家族にも『この期間は活動不能です』と宣言。
鼻息荒く歯科医へ……もうね、まるまる一週間寝込む気満々だった。
担当歯科医は、悲痛な面持ちの私に心配そうに言った。

「また腫れた?」
「腫れてはいません」
『痛い?」
「いえ、あんまり。でも、どうせ抜かなきゃならないなら今のうちにって」
「あ、そう……? とりあえず診ますね」

おそらく、抜いてくれー! とやってくる患者は少ないのだろう。
担当歯科医(けっこうイケメン=ここ大事)は問題の歯の周りを見て
うーん……と呻ったあと、選択肢を示してくれた。

その① やはり炎症があるのでそれを抑えつつとりあえず延命
その② 抜歯後、折れた歯根を修復して植え直す
その③ 抜歯後 両隣の歯を削ってブリッジにする

それぞれのメリットデメリットをしっかり説明してくれる歯科医の頼もしさ……
(常々思っているが、私はけっこう医師運が強い)
で、結果として一番オーソドックスで手がかからないブリッジ選択
目論見どおり、抜歯に至った。
折れた歯根がばらばらになって大変かも……と脅されつつ麻酔。
もはやまな板の上のコイ、診療台の上の腐れ物書き
一週間寝込んでも大丈夫。
痛みも、腫れもばっちこーい! である。

麻酔を打って、ではではと施術にかかってものの数分
いや一分もかからずに歯はあっさり抜けた。
あんまり見たくないだろうけど、と気遣う歯科医もなんのその
ばっちり見せてもらった歯は確かにちゃんと『歯の形』を保っていた。
ワンチャン、ボンドでなんとかできたかも……と思ったものの
すでに神経がない歯だから将来不安は大きい。
すっぽり抜けたことに感謝しつつ、その日の治療終了。
帰宅後直ちに療養生活突入、家族よ、達者で暮らせ
夜になったらお粥を炊いてね、である。

ところがぎっちょんちょん。
抜歯してから五時間後、こともあろうに私はピザを頬張っていた。

家族A「痛くないの?」
私  「縫合したところがチクチクする」
家族B「抜いたところは?」
私  「そこは別に」
家族A「ピザ、食べられるの?」
私  「おいしい」

我ながら、ここまで痛みに鈍いとは思わなかった。
これぞまさしく無神経……(たぶん違う)
まあ帰宅後、速効で痛み止めは飲んだけれど
経過時間から考えても効果はそろそろ切れるころ。
それでも痛くないのだから、未来は明るい。

ご機嫌良く、というか、私がさほど食べない前提で
頼んだピザをばかすか食べたせいで、いささか食料不足気味。
なにか作ろうか……となってしまったのは『とほほ』としか
言いようがない。

結局その後も大した痛みは訪れず
縫合したところの釣るような違和感は
昨日でなくなった。
一番心配だったドライソケットも発生せず
消毒に行ったら治りの早さに驚かれた。
私はもしや人外……痛みを感じづらいのもそのせい?
という疑問はさておき、大事にならずにすんでよかった。

かくして、無理やり捻出した療養期間は不要となった。
7月着手予定の原稿を前倒しすることもできるし
8月刊行予定の校正もそろそろ来そうではある。
でも、とりあえず今はだらだらしよう。
思いがけず得られた貴重な休日だもの……

というわけで、この記事を書いている。
刊行予告以外の記事は本当に久しぶりだし
暇ができても結局書くのか、と呆れてしまう。
おまけに、節電要請もなんのそので
毛布を洗濯しまくってる不届き者。
だってお日様がもったいない。
三時までには終わらせるから勘弁してねーである。




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追伸 刊行予告以外と言いつつ、ちらりと……
   7月下旬から8月上旬にかけて、3作刊行いたします。
   単行本一冊、文庫二冊(うち一冊はアンソロジー)ですが
   すべて書き下ろしとなります。
   書影が公開になりしだい、刊行予告を上げますが
   立て続けとなりますのであらかじめご連絡まで。



























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近頃の私 [日常]

息も絶え絶え。

改めて私が言うことではないけれど
なんとも窮屈な日々であることよ。
なんのために仕事をするのかと問われたら
私の場合はシンプルに書かずにいられず
運良くそれを仕事にできたから、と答えるしかない。
次の理由を問われたら、休みの価値を上げるため、
あるいは毎日が日曜日に耐えられない性格だから、だろうか。

日曜日という言葉で表されがちな休日のありがたみは
平日の労働があってこそだと思う。
そんなことはみんな知っている、もちろん私も……
でも知っているだけでわかってはいなかったのだと痛感する。
平日どれほど頑張って仕事をしても遊びに行けない休日。
ご褒美の旅はもちろん、ちょっとした外食も、気晴らしの買い物すら
出かけることに勇気がいる。
インドア派だと思っていたけれど、それにも限界があったらしい。
ただひたすらネットの海に溺れたり、ごろごろしているだけの休日なんて
なにがうれしいのか、と吠えそうになってしまった。

少なくとも私は、外に出て、知らない人に会ったり、見たことのないものを見たり
食べたことのないものを食べたり、呑んだことのないものを呑んだりしたい。
画像やお取り寄せを我が家で、ではなく、現地に行って味わいたい。
そうやってインプットを重ねることで、ようやくアウトプットができる。
ひとつの仕事を終わらせ、ご褒美という名のインターバルを取って
次の仕事のためのインプットに励む。
それができない世界で、休日がある意味なんてない。
それが私という人間である。

そんなこんなで、気温が下がり乾燥が激しくなった昨年秋以来
秋川の気分は落ち込みに落ち込み、引きずられて体調も最悪。
見事に帯状疱疹罹患という体たらく……
しかも発生箇所が背中だったためにいつもの肩こりと勘違い
早期治療が要と言われる帯状疱疹なのに思いっきり後手。
まるでどこかの国の感染症対策のような状況となった。
いやあ……帯状疱疹って本当に辛いものですねえ……

それでも、持って生まれた屈強さ(どこにそんなものが)が幸いして
帯状疱疹としては軽症も軽症、かかりつけ医ですら
「ホーントーに軽いですよー」なんて言い出す始末。
いや、軽いかもしれないけど痛いのものは痛いのよ!
痛みで夜も寝られなかったなんて陣痛以来なのよ。
どうでもいいから即座にこの痛みを取ってくれ!
という私の嘆きはまるで功を奏さず
痛みは痛みとして居座り続け、さよならするのにかかった日数は……
なんとおよそ四十日!!

信じられます、皆さん?!
痛み止めを飲んで寝ても、薬が切れて起きちゃう日々が四十日!
それでも朝はやって来て、朝が来たら仕事をする私。
なーんて働き者なんでしょう! ……じゃなくて!
とにかく休め、と言われても、仕事が進まないストレスで
また別の病を併発するのが恐かっただけのこと。
我ながら、病は気からを実践しすぎだろーーーー!!

ということで、なにが言いたいかというと、
休日が休日としての機能を果たさなくなっている昨今
どちらさまもストレスには重々気をつけて。

ついでに……
外科的な原因を思いつかない痛み、しかも片側集中の痛みを覚えたときは
取り急ぎ、帯状疱疹を疑うことをおすすめする。
患部の観察を怠らず、発疹を見つけたら即行で皮膚科あるいは内科へ。
治療開始が遅れると、痛みは長引き、難儀しまくりこと請け合い。
(ただし、子どものころに水疱瘡にかかっていないという方は大丈夫。
水疱瘡のウイルスが体内に残り、体力低下に伴って悪さを始めるのが
帯状疱疹とのこと)

なお、今現在、帯状疱疹による痛みはほぼ消失
身体的苦痛としては、通常の頭痛肩こり腰痛を残すのみとなったことを
ここに報告する次第である。
誠にめでたい……わけがあるかーーーーー!!

でもって、今後の刊行予定を少し。
2月、5月に単行本新刊、
こちらは脱稿済みですので、たぶん出るでしょう。
あとは既刊文庫化がちらほら……
その先は『今やってます』という蕎麦屋の出前状態。
あまりの遊べなさに秋川ご乱心とならない限り
秋以降にも1,2冊は出せるのではないか……てなかんじ。
病を得ていたにしてはけっこう働いておりますので
どちらさまも、気長にお待ちいただけると幸いです。

加えて、末筆となりましたが
『ひとり旅日和 縁結び!』増刷となりました。
『きよのお江戸料理日記』も三刷。
誠にありがとうございます。
引き続きよろしくお願いいたします。




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更新されないブログ [日常]

ブログって日常を書くものだよね……

このブログを始めたのは2009年の末だった。
その頃はまごう事なき専業主婦で、毎日更新どころか
朝夕二回更新、なんてことをやらかしていた。
当然、内容は薄く(これは今もだな)ほとんど全てが日常のこと。
無名の主婦のブログなんて読む人はいないと思っていたから
家族のこともふんだんに書いていた。
商業物書きになってしばらくしたころ、さすがにこれはまずいと気づき
それまでのブログをいったん閉じて、セカンドシーズンを開始した。
それが2013年の冬のことである。

それから七年……今やこのブログはほとんど息をしていない。
申し訳程度に新刊の案内がなされる程度……
そもそもが過激思想の持ち主な上に、大変しつけの悪い口をもっているため
昔のように思ったことを端から垂れ流していたら『炎上』必至。
家族を始め、関係者各位に迷惑をかけまくってしまう。
(これは『秋川滝美』アカウントがここにしか存在しない理由の
最たるものである)
日常や思考を綴れないブログに意味はあるのか。
いっそ閉じてしまった方がいいのでは? などと
ため息をつく日々である。

それでも閉じないのは、ひとえに
せめて新刊が出るときぐらいは告知せねば……という卑しさ。
物書きが自分で宣伝するのが当たり前の時代と言われても
拙作のどの登場人物よりも自己評価が低い私としては
とてもじゃないが『買ってねー!』なんて言えない。
物書きを8年やっているというのに、未だに
人様の財布の中身を減らしていいような作品じゃない
と思っている。
そんな私でもせめて刊行されていることぐらいお知らせしたい
書店はもちろん、図書館でも古本屋でもいいから
見かけたら捲ってみてね、秋川まだ生きてるのね、と思ってね
というのが『刊行案内』なのである。
(これはもはや生存確認なのでは?)

というわけで、更新されないのがあたりまえのこのブログ。
記事が上がったら秋川存命中(遺作にあらず)ぐらいに思っていただけると幸いである。







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その日のために [日常]

屈伸運動はとても大事。

本来なら旅三昧している頃だった。
宿も交通手段も予約していた。
この2ヶ月で3回あった旅の予定はすべてキャンセル。
3月初旬の分については本当に迷った。
もしかしたら行けるんじゃないか、とぎりぎりまで粘り
やっぱり無理だとあきらめた。
その後、状況はどんどん悪化し、計画は頓挫しっぱなし。
まあ仕方がない。起こったことは起こったこと、できることをするしかない
とか思っていたら、できることの方向性が思いっきり変わってしまった。

なんかねーいるんですよ。
家族が、一日中、おうちに。
そりゃそうだ。全国、いや全世界的に方針は『ステイホーム』
みんなお出かけはしないでね、なのだ。
そして人間、というか命あるものはすべからく食べるのだ。
朝ご飯は勝手に食べてちょうだい。
昼ご飯もおすきにどうぞ。
それでもさすがに晩ご飯ぐらいは作らねばならない。
なぜなら、好き放題にさせておくと栄養バランスが崩れる。
体調不良で免疫力が低下、怪しい病に罹りかねない。
たとえ一食でも……とまるで戦後の学校給食みたいな感じで
毎日毎日ご飯を作っている。
これまでは家族は仕事やバイトで不在が多く
週の大半は夕食なんてひとりだった。
家族がいても外食だったり、中食だったり、ガス代が安くて大助かり~
だったのにいきなり毎日手作り、家族の人数分……
家にいる人数が増えれば、家事のすべてに時間がかかるようになる。
掃除も洗濯も買い物すらも……
全国の主婦&主夫の皆さま、お元気でいらっしゃいますか。
秋川はへとへとざんす。

そんな日々であるが、実は世間は意外にしぶとい。
この状況を乗り切るために、
あるいは終息したあとを見越しての準備に怠りがない。
あらゆるイベントが中止になっても
いつかくる日のために企画は動いていく。

へこたれてる場合じゃない。
今はひたすらステイホームだけれど、いつか必ず動ける日が来る。
その日のために万全の準備を。
高く飛ぶためには屈み込むことが必要だという。
私の周りには、全力で屈み込む人ばかりがいる。
しかるべき時が来たら、
ものすごい勢いで、とんでもなく遠くへ飛ぶだろう。
置いて行かれないように用意をしよう。
いつか必ず来るその日のために……


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【お知らせ】

  各種書籍の刊行が延期となっております。
  拙作の状況はこんな感じです。

  ・湯けむり食事処ヒソップ亭 (講談社)    予定 5月14日 → 5月27日
  ・文庫 居酒屋ぼったくり10 (アルファポリス)予定 5月16日 → 6月以降

  なお、今後も状況次第で変更の可能性はありますが、
  もちろん校了済み、カバーも帯も全部できあがっております。
  刊行されないということはないはず(汗……)。

  また、初稿渡し済校正待ちの原稿が一本、現在着手中のものもあります。
  絶対に刊行にこぎ着ける所存ですので、ゆるりとお待ちくださいませ。

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馴染みの酒 [日常]

好きな酒を呑める喜び。

ひとりでふらりと居酒屋に入る。
あるいは家族や仲間と呑みに行く。
品書きを開くと酒の名前が並んでいる。
ビール、日本酒、焼酎、ウイスキー……
かなりの割合で知っている銘柄が入っている。
時折、同席者におすすめの酒を訊かれて
その人の好みや、注文する料理に合わせて
『このあたりかなー』なんて偉そうに言いつつも
自分が頼むのは違う銘柄だったりする。
なぜなら私にとって『酒を知る』ことも仕事の一部だから。

絶対に合うはずの酒も
物書きになる前は何十本とリピートし
外で見るたびに注文してきた酒もスルーして知らぬ酒を試す。
心から旨いと思う出会いもあり、そうでもないときもある。
それでも、心のどこかでいつも馴染みの酒に焦がれている。
身体のあちこちにガタが来ている私は
もう一度にたくさんの酒は呑めない。
せいぜい一杯か二杯しか呑めないのなら、知らぬ酒を呑むべし。
それが、ここ五年ぐらいの私の暮らしだった。

そして今、私は存分に馴染みの銘柄をリピートしている。
近頃も旅先で心の底から好きだった酒に出会った。
もう何年、いや何十年も口にしていない。
そもそもその蔵元自体が全国で広く商う気がない。
中でもその銘柄は季節限定で、限られた店でしか手に入らない。
ご当地に赴いても、飲食店で出会えることなどほとんどないのだ。
感動の再会を喜びながら、一杯を大事に大事にいただいた。
肴はスマガツオの刺身、カツオの王と言われる魚だ。
この魚をが置いてあるだけで店の質がわかる。
よしよし、と頷きながら、大事に大事にいただいた。
素晴らしきかな、人生、という感じだった。

新しい酒を知るのは大きな楽しみではある。
けれど、ときには馴染みとしっぽりしたいときもある。
好きな酒を好きなときに好きなように呑む。
なにものに代えがたい楽しみである。



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【観賞記録】

   OFF THE WALL  梅棒 

     元気をもらいたくて出かけていったら、もらいすぎてぐったり。
     というのは冗談ですが、我らが『霜川先輩』(楢木和也さん)は
     ダンス肩を見事に克服し、きれっきれで踊りまくっておりました。
     1分走っても息も絶え絶えになる私には、1時間40分踊り続ける方々は
     宇宙人としか思えません。
     この作品はそんな宇宙人たち(失礼!)とガチの宇宙人の交流を描いた作品です。
     本日、千穐楽。どうか怪我なく、劇場に笑顔が溢れますように。


【個人的応援】

     本日、末那高生のひとりが漢字検定に挑戦中。
     諺、語源だけではなく、漢字そのものに興味を覚えた模様。
     見事合格の暁には、なにやらご褒美があるらしいけれど
     そんなの関係ありません。ヤルシカナイネー
     というわけで、頑張れ、松崎祐介さん!

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学びの時期 [日常]

若いに越したことはない。

アンチエイジングってなに、それ美味しいの?
がモットーの秋川。
人間生きてりゃ年を取るし、皺もシミもできる。
でもたかが皮一枚のこと、と達観していた。
もちろん、そもそも美醜にこだわるレベルのご面相ではない
という重大な理由もある。
さらに勉強なんていつでもどこでもできる、なんて開き直り(?)
適当な日々を生きてきたのである。

ところがぎっちょんちょん。(大いなる死語)
最近、やっぱり勉強は若いうちだな、と痛感させられた。
というか、今も身に染みて感じている。
人間の身体はあからさまに衰える。
脳は言うまでもなく、視力も筋力も衰える。
学ぼうにも、教材の文字は細かく、長時間の作業で肩や腰が痛み
読んだはずの文章を片っ端から忘れる。
美術館、博物館を訪れると翌日はぐったり動けない。
若いころも大して、というか全然優秀ではなかったけれど
今よりは数段マシだった……はず。

要は、勉学はできる限り若いうちにやれ! である。
そして、将来どんな知識が必要になるかわからない。
この際、浅くても良いからできるかぎり広く学んでおけ。
入り口さえわかっていれば、奥深く分け入ることもできる。
全部を深く学ぶことなど不可能なのだから
いつか必要になる深い知識の習得に備えるためにも
間口はできる限り広げておけーーーー!!

ぜいはあ……

とまあ、新年早々(でもないな……)から声を大にする私。
要するに、手に負えない調べ物に辟易しているのである。
せめて若いうちに基礎知識を入れておくのだった、と大後悔中……
こんな秋川ですが、どちらさまも本年もよろしくお願いいたします。

ということで刊行お知らせ。

幸腹な百貨店 催事場で蕎麦屋呑み 文庫   講談社      1月15日 (また過ぎてる!/土下座)
居酒屋ぼったくり9 文庫          アルファポリス  2月14日 

どこかでお見かけの際は、ちらりと捲ってやってくださいませ。





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夢物語書き [日常]

0.00001でも0ではない。

私が物書きになっていただいた感想のトップ2は
「上手く行きすぎ」「こんな人いない」である。

当然である。

なぜなら私はノンフィクションライターではなくて
腐れ物書きなのだ。
妄想を活字に写して
でやでやでやーっと無責任に放り出すだけの簡単なお仕事……
いや、これはさすがに身も蓋もない。
たとえ事実だとしても自ら言うには痛すぎる。
(事実だから痛いって指摘は死者を鞭打つ行為ですのでご勘弁)
だからあえて言う。
妄想じゃありません、想像です(爆)

それはさておき、世はお盆休み
普通なら通勤途上でちらっとこのブログを読んでくださる人も
懐かしい人との再会や休息、あるいは家族サービスや趣味の追求などに忙しいはず。
それでも読んでくださるのはよほど気持ちと時間に余裕がある方と信じて
どうしてこうもご都合主義な話ばかり書くのか
ということについてちょっと語ってみたい。
(とかなんとか言って、今月は意地でも『仕事しない』と決めたせいで
時間と書きたい欲を持て余しているだけ)

人が物語を読む、あるいは映画を観る目的はなんだろう。
異論はことごとく認める! という前提で書くと
私は『現実逃避』だと思う。
理解できない学問、先が見えない仕事、上手く行かない人間関係……
そんなものたちから、たとえ一時でも逃れたい
物語の中だけでもいいからすかっとしたい!
そんな気持ちで、本や映画に向かう。
本や映画からなにかを学び、明日に生かしたいという気持ちは
皆無とは言わないけれど、二の次三の次
「やったぜ、ベイビー!」(死語)と叫べればそれでOK。
少なくとも、私はそうなのだ。
その証拠に、私が学生時代から延々読みあさったのは
ハーレクインシリーズだった。
不細工な上に性格は頑な、さらに万年肥満児だった私は
正論を振りかざしていい気になっては人に嫌われ
痛々しいとしか言いようのない青春を送った。
もちろん年齢=彼氏居ない歴、しかもそれを周りのせいにしていた。
要するに『私のまわりには、私の魅力に気付かない馬鹿しかいない』
というとんでもなく間違った思い込みの中で生きていたのだ。
だからこそ、一見平凡、あるいは劣って見えるヒロイン(矛盾表現だな)が
ヒーローに見出され、あれよあれよという間に幸せになっていく姿に自分を重ね
シンデレラストーリーに酔いしれていたのである。
そう、いつかきっと私も……と……

はい、ここでどこかのチョコレート大好き女の呟き引用。

『シンデレラって、もともといいとこのお嬢さんじゃん』

その上シンデレラは容姿も性格も素敵だし、床だってせっせと磨く働き者。
棚すら作らないくせに、ぼた餅を待ち続ける私とは雲泥の差……

という事実に気付いたのはかなり後になってから。
それまでに、私が読んだハーレクインシリーズは三桁に止まらない冊数だった。
(ちなみにそれ以外の本も同等、あるいはそれ以上に読破した。なんせ田舎で
経済的に問題ありだったので、娯楽が読書ぐらいしか……うう)
それでも思い込みというのはすごいもので
現実から目を背けまくり
なんの根拠もなく「いつかきっと……」を盲信していたおかげで
私にもいわゆる『boy meets girl』が訪れ、生涯の伴侶を得ることが出来た。
ついでに親の立場を経験することも出来た。(親としての辛酸も嘗めまくった/笑)
挙げ句の果てに、とっくにあきらめたはずの『物書きになる』という夢まで叶った。
まさに『信じるものは救われる』である。

そんな私の経験から言えることは一つ
世の中何が起こるかわからない。
シンデレラほど氏素性が正しくなくても
シンデレラっぽい成り行きになることはある。
あり得ないほど都合がいい物語を読み続けて
いつかきっとこうなる! と信じることは無意味じゃない。
だからこそ、よりたくさん読めるように
シンデレラみたいな物語がそこら中にばらまかれている必要がある!
……なんて思っているのである。

私を性善説信者だと言う人がいるが、実はそれは違う。
私は根っからの性悪説の人だ。
だからこそ、信じがたいほどの善人にたくさん触れ
隙あらば溢れようとする悪を封じ込めたい。
自分が書く物語で、自分を説得しようとしている。
それが、現在私がやっていることである。
私の中にいる極悪人を全部ひっくり返して書けば
誰もが驚く善人が出来上がる。
過去の失敗、不運をひっくり返せば
何もかもが上手く行く話を作るのも簡単。
私ほど「都合のいい話」を書くのに向いている
人間はいないのである。

正直に言えば、不幸な物語を読みあさった時期もあった。
この人たちよりは……なんてあさましく悲しい比較をして
自分を慰めることでなんとか生きていた。
幸せな人を見ることで、より辛くなる気持ちも
お笑い番組すら観られないほどの落ち込みも経験した。
だから、ハッピーエンドじゃない物語の必要性は
私なりに理解しているつもりなのだ。

でも、今の私には悲しく辛い物語を綴る精神力がない。
過去の出来事を過去という箱に封じ込められない。
実際に試みたことはある。
あれからもうずいぶん時が流れた。
もうそろそろ向き合えるのではないか、と思って筆を執ったのに
書き切ることが出来なかった。
どろどろの物語の中にあり得ない善人を放り込むことで
全体の色調を薄め、未来の可能性を拓いて終わらせた。
もちろん、書こうと思えただけ前進していることは確かだし
いつかは書けるのかもしれない。
でもそれは今じゃない、と痛感させられた。

みんな幸せになりました、と書くことで
私は自分自身を慰めている。
世の中には信じられないほどの悪人がいて
大作家すら想像しなかったような悲惨な事件が発生する。
それならその逆だって0とは言えない。
びっくりするほどの善人ばかりが集まる町があって
現実とは思えないほど都合よく話が進むことだって
絶対にないとは言いきれないではないか。
類友という言葉があるし、そんな人たちをお手本にしていれば、
いつかは本当に彼らに会えるかもしれない。
何もかもが上手くいく町の一員になれるかもしれない。
可能性が0.00001パーセントでも、それは0じゃない。
そんな気持ちで、ご都合主義で善人だらけの物語を書いている。
誰よりも私自身のために……




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『SHOW BOY』&『夢ぞろぞろ』 [日常]

仕事で書かないとブログの更新が増える(笑)

『厨房男子』の続編が決まったから、と言うわけではないけれど
先月、今月と続けて舞台を見に行くことができた。
観劇というのはなんとも難しくて
上演期間は限られるし、スケジュールをあけてさあ行くぞ!……と思っても
気付いたときには抽選期間終了、応募してても当たらないなんてことはざらなのだ。
かくいう私も、『チーム厨房男子』の諸君が出演している作品は
可能な限り見に行くつもりでいるのだけれど
時間が合わない以上に、まーチケットが取れない,取れない……
『残念ながら……』で始まるメールを幾度目にしたことか!
さらに、抽選がない作品でも熱狂的ファンは必ず存在していて
ばたばたしてて気付いたら完売……なんてことに……。
(こちらは抽選外れよりさらに悔しい、自分さえしっかりしてれば! となる)

それでも神は腐れ物書きを見捨てきったりはしないようで
とにかく倍率の低そうな平日昼間を狙って応募してみたら当選、
チケット発売日をスケジュールにしっかり入れてWEBから申し込み、ということで
なんとか二作品のチケットをゲットした。

ということで,以下感想。

・『SHOW BOY』 ふぉ~ゆ~主演 シアタークリエにて

例のイケメン君たちは、タップダンスを踊ったり
ピアノを弾いたり、中国語会話を披露したり
手品やジャグリングに挑んだり……と
それぞれに与えられた課題を見事に完遂。
あの忙しいスケジュールの中で,いったいどうやって練習したのか
もしかしたら彼らには影武者がいるのでは? 
と目をごしごし擦って本人確認してしまうほどだった。

けれど、どこから観たって彼らは彼らで
終演後ご挨拶に押しかけた私に
「あ、来てらっしゃったんですかあ~」
なんて,気さくな笑顔を向けてくれた。
ホントにね……疲れてるに違いないし
夜の公演だってあるのに、なんて良い子たち。
中身はちっとも変わらない。
でも『技量』は間違いなく上がっている。
なんというか、物語の構成にも理由はあるのだろうが
全員が『俺こそ主役』のオーラを出していた。
自信に溢れ、ストーリーの中心にどっかと立っていたのだ。

もうね……おばちゃん,大感激。
もとから彼らのファンだった人たちは
「もともとすごいんです!」
って怒るかもしれないけれど
私は彼らのステージを観たのは『放課後の厨房男子』が初めてで
そこを原点とするしかない。
たった一年しか知らない私にもわかるほど、彼らは大きくなった。
去年から今年にかけて
個人で立つ舞台をたくさん経験したことで
グループではなくひとりの役者としてのあり方を身につけたんだろうな……
なんて勝手に思っている。
個人活動が増えることで、揃っての活動が減るグループもあるけれど
彼らはそうはならないと信じたい。
ひとりひとりが外で得たものを持ち帰り、さらにグループが伸びていく。
そんなグループに違いないし、そうあってほしいと願っている。


・『夢ぞろぞろ』 田中穂先(柿喰う客) 小沢道成 シアター711にて

田中穂先さんは厨房男子で舞踏部の一員,長谷川を演じてくれた方である。
(あの五七五調でしゃべる人といえばわかる人にはわかるだろう)
昨冬の『美少年』という作品も拝見したときも圧倒的熱量(汗の量?)に
降参状態だったけれど、あのときは演者は四人。しかも年齢的にも
一番若く、先輩方を頼りにしている感じが大きかった。
ところが、今回はふたり芝居である。
ということは、穂先さんの台詞もシーンも倍増、汗の量も倍……
いや、そんなことはどうでもいい。(よくない。汗の量は気合いの現れだ)
相手役の小沢さんは素晴らしい俳優だけれど
それだけに、抜擢してくれた期待を裏切らないよう頑張らないといけない。
実は私は、心配していた。
大丈夫か,長谷川ーーーー! って。
でもね、そんな心配、まったくいらなかった。
穂先さんは素晴らしかった。
他人からみればなんの問題もない日常、
それでも躓き,進めなくなってしまった自分を持て余し
迷い、苦しむ若者の姿を見事に描き上げた。
さらに、相手役の小沢さんとのやりとりの中で
簡単には解決しないだろうわかっている問題であっても
自分を肯定することで、いつかは乗り越えられるのかもしれない、
と思わせてくれた。
観客に希望と勇気をくれた。

ネタバレは悪だと承知の上で一言だけ書く。

『ここまでは来れるから』

この一言は、なにかというと卑下ばかりしている者(=私)への最大のエールだ。
進めない,踏み込めない距離よりも、これまで進んできた距離の肯定。
主催の小沢さんが『優しい物語』を創りたかったと仰っていたとおり
『夢ぞろぞろ』は本当に優しい物語であると同時に『許しの物語』でもあると思う。
過去の自分、今の自分、そして未来の自分をも許す物語。
ひとりでも多くの方に観ていただきたいと思う。
公演は下北沢『シアター711』で12日まで。
当日券も必ず出します、予約は上演2時間前までOKですという舞台
お時間のある方は、ぜひ。
(ちなみにこの二時間前までOKというのは,あまりにも暑くて並んでいただくのが
気の毒だから、という理由だそうです。本当に優しい……)

ということで、観劇記終了。
とにかく今は、
一年間、様々な経験を積んできた彼らが創る『放課後の厨房男子 リターンマッチは恋の味』が
楽しみでならない。


パンフレット.JPG





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8月は夏休み [日常]

あーなーつやすみー!

七月末締切の原稿を月半ばに提出
ちょっと打ち合わせをしたあと
最速で改稿して再提出。
なんというか、久々に書くのが楽しかった。
楽しすぎて予定枚数を大幅に超過
自分で削りかねて、またしても編集担当さんに丸投げ。
でもあちらはさすがにプロ。
枝葉末節をさっさと見つけてばっさり削除。
ついでに足りないところの書き足し指示。
方針が明確だから、あっという間に直せた。
いつもながらに、編集担当さんという存在に感謝する。
世の中には、編集者なんていらないという人もいるらしいけど
私には無理。
暴走する筆を的確に導く存在は必要不可欠だと思う。
もちろん、相性の良し悪しはあるし、
長年かけて築いた信頼が、瞬く間に崩れることもあるけれど……

それはさておき、とにかく夏の原稿は終わった。
秋から書く予定のプロットも無理やり形にした。
先を思うと不安しかないけれど、それも今は棚上げにして
夏休みを取ろうと思う。

今年の夏はいろいろな意味でタイミングがいい。
仕事とは関係のない旅をして
仕事とは関係のないものを食べ
仕事とは関係のない酒を呑み
仕事とは関係のないものを書く。
(結局書くんかい!)
そんな夏にしたいと思う。

というわけで、八月はお休み
皆様もよき夏をお過ごしください。
(とか言ってても、校正紙はどかどか届くんだろうけど)


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【刊行予告】

放課後の厨房男子 まかない飯篇 (幻冬舎文庫) 8月6日刊行

   表紙は単行本のときと同じですが、おそらく帯に『彼ら』が……


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インプットの日々 [日常]

旅から旅へ。

今年こそはゆっくりする!
それは年頭に当たっての私の決意であった。
スケジュールに余裕を持たせて
いろいろなものを観て、旅行にも行って
人生を謳歌してやるぞ! 的な……
あーんど、インプットしなきゃアウトプットはできない、みたいな。

お陰様でスケジュールはそこそこゆとりがある。
(喜ぶべきことかどうかは別問題だが)
やったぜ秋川、遊ぶぞ秋川、お出かけするのだ秋川!
ということで、いろいろ予定をぶっ込んだ。
結果、この三ヶ月の私の足跡帳はこんな感じ

福岡 広島 兵庫 大阪 愛知 石川 富山 東京 千葉 宮城 

これであと四国のどこかと北海道に行けば、天気予報の地方区分網羅ではないか。
今年はいっぱい旅をすると決めたけれど
ここまで短期間に詰め込む必要はあったのか?
いったい何の修行だ? と自分に真顔で訊きたくなる。

全国各地で美味しいものと美味しいお酒をいただきまくり
体重は大いに増加。(まじで『大いに』である!)
たぶん私が虹の橋を渡るときは診断書に『肥満』と書いてあることだろう。
でもまあ、摂生しまくっての長命とやりたい放題の短命ならば
文句なしにやりたい放題を選ぶ性格なので悔いはない。
とにかく忙しく楽しく疲れまくりの三ヶ月だった。
この経験はきっと今後私が書くものに、大いなる影響を与えてくれるだろう。
発表する場をいただければありがたいけれど
どこも引き受けていただけなくてもそれはそれ。
もともと私は、自分だけのために、自分が読みたいものを書き散らしていたのだから
そこに戻るだけの話である。

そんなこんなで、やっと観光情報検索機ではなく
ワープロとしてのパソコンの前に戻ってくることができた私。
今後しばらく執筆に専念するつも……
ちょっと待て、来月は外面内面どっちもイケメンな四人組の舞台があるじゃないか。
さすがに個別の出演作品を追いかけるわけにいかなくなって
(頑張りすぎだよね、ふぉ~ゆ~くんたち)
しばらくご無沙汰していたけれど、四人揃っての舞台となったら
やっぱりねえ……とばかりに抽選参戦、無事ゲット(万歳!)

あーあ……これではいくらインプットしてもアウトプットしている暇がねえ!
でもいいや。楽しいから。
ということで、インプットという名の遊びまくり報告でした!
どちらさまも御身お大切に~



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