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舞台『放課後の厨房男子 リターンマッチは恋の味篇』大千穐楽 [舞台化]

してやられた私。

昨日、『放課後の厨房男子 リターンマッチは恋の味篇』が大千穐楽を迎えた。
(ところで、このタイトル長すぎない?/笑)
なんでも『大千穐楽』というのは公演会場が複数の時にだけ使われる言葉らしい。
つまり昨年は博品館一会場だったため『千穐楽』で
三会場を巡った今年は『大千穐楽』なのだそうだ。
昨年みんなでかけた、できれば地方にお邪魔できますように、という願いが
見事叶っての『大千穐楽』、誠に感無量、原作者大喜び!

……というのはさておき、おそらく大千穐楽を楽しんでいただくと同時に
終わらないで……という気持ちを抱かれたファンの方々は多いことだろう。
けれど、正直私はほっとしている。
そう……ちょっと修学旅行が終わったときの引率教師の気持ちに似ているかもしれない。
今回、ちょっと申し訳なくてファンの皆様には申し上げられないほど舞台を拝見した。
彼らは毎日、とても楽しそうで、文字どおり『はっちゃけて』いた。
ぎゅうぎゅう詰めのスケジュールであらゆる疲れを背負っているとは思えないほど
彼らは元気で、そこにいることを楽しんでいた。
創り手が楽しめない作品は、どうあがいたって楽しくならない。
それは舞台も小説も同じことだと思う。

でも、カオスの含有率には限度がある(爆)
たとえ劇場の九割が演者の熱烈なファンだったとしても
残りの一割は『ふぁ?』となってしまう。
元ネタがわからない……と悲しい気持ちになってしまいかねない。
ひとつの作品を味わうために、下敷きが必要というのは問題ではないか。
それが作品の一部ならかまわないけれど、全般にわたってしまったら
壮大な内輪受けに終わってしまう。
そんな危惧を抱かずにいられなかった。
ありがとう、大千穐楽、ここで終わってよかった……

それが昨日、大千穐楽を拝見した私の感想だった。
そして、打ち上げを終えて迎えた朝、私は壮大な苦笑いの中にいる。
苦笑いというよりも、ものすごい『してやられた感』。

結局、彼らはどこまでもどこまでもどこまでも『男子高校生』だったのだ。

見るたび見るたび、馬鹿ばっかりやっていて
うわあ、そこまでやるか!? と大人をはらはらさせ
だめだ、こいつらなんとかしなきゃ! と焦らせる。
挙げ句の果ては、頼むから誰かこいつらを叱ってくれ!! とまで……

高校生の息子、しかも元気すぎる息子をお持ちの方、
あるいは持っていた方ならきっとわかる。
この馬鹿馬鹿しく悪のり満載、どっちに行くかわからない危うさ……
絶対に覚えがあるはずだ。
ずっとこんなことやってるつもりか、と気が気じゃない。
なにを考えているのか、さっぱりわからない。
ため息ばっかり出てきて、胃がしくしく痛む……
その危うさこそが男子高校生そのものなのだ。
この果てしない危うさの中で、彼らはあらゆる可能性を探り、
新しい才能を見つけ、明日への道を選び取っていく。
その過程を、彼らは見事に描き上げてくれた。
こんなにも馬鹿馬鹿しいのに、ちゃんと哲学……
舞台挨拶の、なにが面白いのかわからなかった、というミコちゃん先生の
教師そのものの感想まで含めて、完敗のひとことである。

昨年、手放しで褒めた舞台は、今年はさらにグレードアップ。
原作者まで煙に巻く仕上がりとなった。
来年はどうなるのだろう……と期待が膨らむ。
今しばらく、彼らの青春をご覧になりたい方は是非とも応援を。
次はきっと『キャラ立案者』になっているに違いない『原作者』からの
お願いである。


【お詫び】

 作中出てきました『芋煮ソング(?)』の歌詞についてですが
 はっきりと『牛肉』、『味噌!』と歌っております。
 本来であれば牛肉には醤油、味噌ならば豚肉となり、牛肉&味噌の取り合わせを
 腹立たしく思われた方もいたかもしれません。
 食を扱うことの多い物書きとしましても、ここは醤油だろ! と思いました。
 ですが、おそらくこれは舞踏部の、包丁部名物豚汁へのリスペクトの現れ……
 東北地方の皆様に深くお詫びするとともに、誠に勝手ながら、舞踏部の気持ちを
 くんでやってはくれまいか、とお願いする次第です。
 この度は誠に申し訳ありませんでした。(深礼)

 
 

 

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