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『向日葵のある台所』書影 [小説のこと]

今再び……

夏休み(というのは名ばかりだったけど)の間に
拙作『向日葵のある台所』が刊行した。
内容については、各所で紹介されているので省くが
ぜひともご覧いただきたいのはこの書影である。
ぱっと見、写真に見えるかもしれないが
歴とした『絵』である。
これを描いてくださったのはBrigitte Yoshiko Pruchnowさん
ドイツはミュンヘン在住の画家さんである。
もちろん、拙作のための描き下ろしではなく
既に出来上がっていた作品に惚れ込み、使わせていただいた。
もしかしたら断られるかも……と思っていたが
快諾していただき、本当に嬉しかった。

実はその時点で、私はその絵を描かれた人も
その方がミュンヘンに住んでいることも知らなかった。
ただただ、素敵な絵だなあ……と思っていた。
ミュンヘンは十年ほど前に私が暮らし
デビュー作である『いい加減な夜食』の下敷きとなった町である。

この夏、というかつい数日前まで私はあの町にいた。
懐かしい町の各所を回る途中で
この絵に似たようなお皿もたくさん見かけた。
ミュンヘンは私の物書きとしての原点かもしれない。
あの町での経験がなかったら『いい加減な夜食』はなかった。
そして今、ミュンヘンを再訪し、あの町に住む方の絵によって
物書きとしての新しい扉を開ける――
不思議な縁を感じ、感動すら覚える。

これから私はどこに行くのか。
どんな経験をし、どんな物語を書くのか。
いずれにしても礎にこの町がある。
遠く離れた町だけに、もう訪れることはないかもしれない。
それでもこの町は私の心に深く根ざす。
この町は過去から現在に亘って人々を魅了し続ける。
私もいつかそんな物語を書きたい。
無謀な決意とともに、美しい町をあとにした。



向日葵 帯付き.jpg


『向日葵のある台所』 KADOKAWA 8月30日刊行

どこかでお見かけの際は、ぜひともこの表紙をじっくりご覧ください。
なお2019年3月、Brigitte Yoshiko Pruchnowさんの個展が銀座三越で
開かれるそうです。
機会がある方は、そちらもあわせてご覧くださいませ。


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