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オチつく家族(重野なおき) [読書]

なんかもう心底見習いたい。

子どもの頃は連載漫画をよく読んでいたが
性格がせっかちなので大人になるにしたがって
毎週とか毎月の連載を追うことが辛くなった。
そのため長編漫画は単行本になってから
しかも完結してからしか読まないと決めた。
おかげでたまに気に入った漫画を見つけると
どわーっと大人買いして徹夜で読む・・みたいな
随分体力の要ることになっている。

だが、もうそれすらもあまりになくなって
今読むのはもっぱら四コマ漫画である。
どこから読んでも起承転結がはっきりあるし
ちょっとの隙間時間でささっと読めるし
全身の緊張を解くにはもってこい。

そんな私が最近気に入っている漫画家に
重野なおきという人がいる。
この人は同じく四コマ漫画家の藤島じゅんという人と
結婚して、今は双方が家族エッセー漫画なども書ている。
子どもがいる私にとって、ああそうそう!と手を打ちたくなる
話もたくさんあって、とにかく楽しい。
そのご夫婦が、共著で書かれた「オチつく家族」という作品を読んだ。

で・・なんというか、藤島じゅんさんのあまりの潔さに驚いてしまったのだ。
このお二人はお互いにネタについてのだめ出しなども
ちょくちょくしているらしいのだが、旦那さんの重野なおきさんは
デビューも藤島じゅんさんのあとで、後輩となるからなのか
藤島さんの意見をちゃんと聞いて参考にしている。
だが、藤島さんのほうはだめ出しされても自分の考えを曲げない。
一貫して「いや私はこれで行くから」という態度らしい。
「じゃあなんで意見なんて求めるの?」と重野さんが聞くと

『意見なんて求めてないよ。ほめたたえてもらいたいだけだよ』

ときっぱり・・・・

これを読んで、もう私は悶絶しそうになってしまった。

ああ、なんて正直なんだ。
そして、なんて自信がある人なんだ。

人間は誰だって褒めて貰いたい。
だめ出しされて、腐されて嬉しい人なんていない。
(いや・・まれにマニアはいるのかも・・・)
それでも、批判は批判として受け止めてそこから何かを学び
明日の自分に生かさなければ・・と思っている。
いや、思おうと、思わなければならないと思っている。(ややこしい・・)

批判なんて聞きたくない、賞讃だけが聞きたい。
そう言ってしまうことの反動が怖くてならないのだ。
(私などその最たる者である)
よほどの自信がなければこんなことは言えない。
うらやましくてため息が出てしまう。

作品が人目に触れる機会が増えれば
それに対する反応も増える。
賛否両論といえば聞こえは良いが
耳に入ってくるのはおおむね否定的な意見である。
人の声は、否定的意見を言うときほど大きくなる。
大声の批判の裏に、ちゃんと肯定意見だってある。
それはわかっていてもやっぱり耳を覆いたくなる。
自分を見失いそうになって作品自体が揺らぐこともある。
私はいつだってそんな風にぐだぐだなのだ。

だからこそ、藤島さんの潔さに憧れてやまない。
私が藤島さんが書く作品を面白いと思うのは当然。
その藤島さんが『あなたの漫画が面白くなかったら結婚していない』と
いう重野さんの作品が面白いと思うのも当然、と大いに納得した。
これからも単独で、あるいは夫婦共著で、優れた作品を
数多く生み出していってほしいと思う。


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コメント 3

HCのS

中学の頃、親との会話が途絶えたのはそれ、否定的な意見だったからなのかな。自身としては褒めてもらいたかったのでしょうね。
大人買いと言えば、大人借り?をしてましたね。やはり全巻そろえて一気に読み終える爽快感は絶大でした。ベルばらを二晩かけて読破し、中世の歴史に関心を抱いた高3の頃。今だから言える男子高校生の黒歴史・・・
by HCのS (2014-01-26 10:09) 

足立sunny

思わず、「今日のふじしま(藤島じゅんさんのブログ)」を見てしまいました。4コマ載ってました。
重野なおきさん、偉いですね。
by 足立sunny (2014-01-26 16:50) 

秋川滝美

HCのSさん

苦言は相手のためを思って、というのが理解できるようになるのは
大人になってからかもしれません。
もっとも、ただただ嫌がらせとか腹いせのために暴言を吐く人間と
区別するのは凄く難しいですけど・・・
高校生でベルばら・・・
ううむ、小学校三年生でベルばらを買った私の立場は!?

足立sunnyさん

ブログがあったのですね~
私も見に行って笑ってしまいました。
このお二人はいいご夫婦だと思いますよ~見習いたいです。




by 秋川滝美 (2014-01-28 21:40) 

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