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物書きの仕事 [日常]

書いてなんぼ。

結局のところ、この一語に尽きる。
噴飯本でも壁投げ本でもいい、とにかく世に作品を送り出す。
自分が書いた文章で対価を得る。
それが物書きの仕事だと思う。

だから……
なんというか……
正直言って……
漫画や翻訳作品を褒められるとなんか違う感満載となる。

だってそれ作ったの私じゃないじゃん……

そんな思いがものすごくある。

原作者なんだから胸張って良いんですよ、と
誰もが言ってくださる。

でもね……

どんな原作であっても、つまらない作品にすることは簡単。
それなのに原作者を唸らせるほどの切り口で
キャラを壊さないどころか引っ張り上げる台詞で
既にある世界と併存できる新しい世界を作り上げる。
そんなことを当たり前のようにやってしまう方々を前に
原作者でござい、なんてのさばる心臓は私にはない。
コミカライズや翻訳に足る作品だと評価していただけたのは
確かに私の力だろう。
けれどそれを超えて、漫画や翻訳を褒められても

ああああああああーーーーーごめんなさーーーい!!

って叫びたくなってしまう。

コミカライズ作品の売れ行きが不調だと(そんな事実はありません)
ごめん! 原作が面白くないものはどうしようもないよね!
とひっそりと落ち込み、好調は好調で(これは事実)
どうせ原作より面白いでしょうよ、なんてやさぐれる。

もうね……なんとしてくれよう、この面倒くさい物書き! である。

そしてこれはきっと、ドラマ化でも同じ。
面白くても面白くなくても、私はいじいじと悩むだろう。
いくら漫画や翻訳、ドラマがヒットしてもそれは私の手柄じゃない。
それを手がけた人たちの努力のたまものである。
 
結局、淡々と書くしかない。

文章を世に送り出し続けている限り
私は物書きでいられる。
逆に、漫画や翻訳、ドラマの出来に頼り始めたら
私は物書きではなくなりつつあるということだ。

原作者は所詮原作者。
それ以上でもそれ以下でもない。
彼らの成功は彼らのもの。
それを胸に刻んで、今日も私はキーを叩く。









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リバウンド上等 [日常]

疾きこと風のごとく。

忙しい忙しいというのは下品だとは百も承知。
それでも思わず言いたくなるほど忙しい夏だった。
とはいっても、原因はおおむねプライベート。
弾丸旅行や映画鑑賞や家族の夏休みや
同窓会やそのための帰省や終わったあとの打ち上げや……全部遊び(笑)
飛行機やら新幹線やら車やら移動ばっかりで
旅行用の鞄をしまう暇もなかった。
(実はまだ遊び足りなくて期待を込めて今も放り出してある)
それでも大いに楽しく、有意義な夏だったと思う。
少なくとも机に張り付いて
書いては消し、書いては消し、しているよりはマシ。
我が夏に悔いなし! という感じである。

でも、これだけ遊び倒すとつけが回ってくるのは当然
どこに行くにもパソコンを抱えていったし
予定を見越して作業量を決めてあったから
仕事自体に重大な遅延はない。
量のわりに中身が薄いのは今に始まったことじゃないし
八月九月に〆切もない。
旅先で打ち合わせが必要な事態が発生して、
帰宅途中に東京でミーティング……なんてこともあったけど、
それはそれでちょっと売れっ子芸能人みたいで楽しかった。

問題は……旅先で呑気に飲み食いしまくり
おまけに留守ばっかりでろくにジムにも行けなかった結果
ばばーーーんと増えた体重である。

いやはや……人間って本当に楽すると太るんだな……
などと体重計の数字を見つめて大ため息をついたところで
後の祭りがどんじゃらほい、ってなものである。
これから食欲の秋、そして体重増必至の年末年始がやってくる。
少しでも現状を改善しなければと思ってみても
膨らんだ胃も、たるんだ筋肉も協力してくれない。
うーむ……まずい……と冷や汗を流している私の目に飛び込んできたのは
とあるネットニュース。

『肥満は健康に悪影響。ただし関連するのは内臓脂肪量』

本当だな? 信じて良いんだな?
不肖秋川、大デブではあるが内臓脂肪は標準(除く肝臓)
スタイルなんて着る服のサイズがあるうちはアウトオブ眼中。
目下の目標は、子どもが稼ぎ始める前、あるいは作品半ばで頓死しないことだけ。
あとはどーーーーでもいい!

ってことで、ささやかな安心を得た私。
本日も呑気に甘さたっぷりのコーヒーなど飲んでいる次第。
(ほら、コーヒーって健康にいいっていうし!)
どちらさまも内臓脂肪にはお気をつけて。



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堪忍袋の緒発見 [日常]

【閲覧注意】不満の垂れ流しです。





性格が変わったわけではない。

自分で言うのもなんだが、私はとても狭量である。
自分にはどこまでも甘く、他人には密かに厳しい。
だが、この『密かに』の具合が年々ひどくなっている。
正直に言えば『どうしてくれるんだこの野郎!(失礼)』と思っていても
とりあえずその思いに漬け物石を抱かせ、心の海に沈める。
何食わぬ顔で『仕方ないですね~』なんてお茶を濁す。
でも、沈んだだけでなくなったわけではない。

ここ五年ぐらいのおつきあいの方々の中には
もしかしたら私のことをとてもできた人間だと思っている人が
いるかもしれない。(いないかもしれない)
だが、きっぱりはっきり言い切ると、それは虚像だ。
私が私自身と仕事を守るために作り上げた嘘秋川である。
私が商業物書きになる前に書いていたブログをご存じのかたは
それについてよくおわかりだと思う。
過去の私は、ありとあらゆるものについて文句を言っていた。
美味しくなかった名産品、面白くなかったドラマ、金返せと思うような本
政治にも、人にも、気象現象にすら……
そして、私の本質は、何ら変わっていない。
ただそれを表面化させるには、リスクが多すぎるので封じている。
それだけのことである。
そのあたりを皆さんよく覚えていてね、という感じ。

なにが言いたいかというと……巨大な漬け物石登場(爆)

ということで、私は今、けっこう不満。
有り体に言えば、もう勘弁してくれ、という感じ。

……というようなことを書くと、なにがあったんだ!? と
思われるだろうけれど、これは昨日今日のことではない。
積もり積もった不満、行方不明だった堪忍袋の緒が目に付いた。
それだけの話である。
お目汚し失礼、とっぴんぱらりのぷう。




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弾丸ツアー再び ③ [日常]

アドバイスに感謝。

誰かとの道行きならば相談が出来るが
ひとり旅の場合は全部を自分で決めなければならない。
かといって、私に観光ガイド並みの知識があるわけもなく
旅のお供に選ぶガイドブックはいつも『軽くて小さい』が基準なので
内容もわりと軽くて小さい(苦笑)
主だったところはそれで十分だし
そもそも弾丸ツアーなのでそれ以外を回る時間もない。
とはいえ、せっかく旅に出たのだから
穴場的などこかに寄ってみたくなるのが人の常。
そんなときは人に聞くのが一番……
ということで、私はけっこうそこらの人に話しかける。
(ただし、相手はプロ、ホテルマンとかお土産屋の店員さんね)

今回の旅では、二日目の天候が今ひとつだった。
予報では1日目も危なかったのだが、そこはなんとか回避
でもそこで晴れ女は力尽き、翌朝はどんより曇り空……
晴れていれば日本海のほうまで走ってみるつもりだったが
この曇天の元では海もきれいに見えないだろう。
昨日青森で海は見てきたし、十和田湖自体が海みたいなものだ。
日本海は先般の出雲ツアーで見たし、今回は諦めることにした。

となると困ったのは時間のやり場。
奥入瀬、八甲田山、青森は済みマーク付き
弘前まで行って秋田の空港に戻るのはちょっと中途半端。
(お城も修復中らしいし……)
迷った末に、チェックアウトのときにフロントで聞いてみた。

秋川   『夕方まで時間があるんですが、どこか観る場所ありませんかね』
フロント 『うーん……奥入瀬とか?』
秋川   『昨日行ってきました。ちなみに八甲田山と青森も』
フロント 『(暴走族かこいつ……的な眼差し)そうですか……』
秋川   『田沢湖とかどうでしょうね?』
フロント 『風景としては、こことあまり変わらないようですが……』
秋川   『確かに……じゃあ……?』
フロント 『お芝居とか興味ありませんか?』
秋川   『芝居……??』
フロント 『小坂って町でお芝居が観られるんですが、そこならお天気は関係ありません』
秋川   『なるほど……』

ということで、目的地決定。
朝一番(8時50分)の遊覧船で十和田湖を一回りしたあと
(なんとこれが乗客三名!)
目的だったお酒をゲットし、小坂町へ。
着いた先にあったのは、道の両端に並ぶ幟の数々。
そして、午前中の公演を終えて外で挨拶をしている
役者の皆さんだった。

着物にカツラに白塗り
美しい女形に群がるファン(?)のおばさま方。
言ってはなんだが、ここにこんなに立派な
芝居小屋があるなんてまったく知らなかった。
(ただしこれは私が無知なだけで、あとで聞いたら
夫はちゃんと知っていた)

チケット売り場で確かめると午後の公演は12時30分からだという。
とりあえずチケットを買って入場。
予約客らしき方々は、桟敷でお弁当など召し上がっている。
飛び込み客の秋川にお弁当があるわけもなく
項垂れかけたところに案内の黒子さん登場。

「おうどんやおそばは座席で召し上がっていただけますよ~」
はい、ありがとう。いただきます。
ということで、またしてもお店のお姉さんに尋ねて
おすすめの「アカシアの花の天ぷらそば」を注文。
駅そば並みの柔らかさだろうという予想を大きく裏切る
つるつるしこしこの美味しいそばと薫り高きアカシアの天ぷら。
ほほーアカシアの花って食べられるのね、と頷きつつ完食。
ちなみにこのおそば、なんと一杯500円。
コスパ最高の昼ご飯となった。

食後、この会場の最年少は私ではないか?
という疑いを抱きつつ、開演を待つ。
待っている間に、お土産を売りに来た黒子さんの口上が面白くて
まんまとおまんじゅうを買わされてしまったのはご愛敬。
(たっぷり栗いり、にしては栗はまばらだったが美味しかった)


12時半、賑やかな音楽とクラブのようなライト攻撃の中
ミュージックショースタート。
以後、演劇やらファンサービスやら、踊りやら
飽きるのではないかという心配をよそに
まったく退屈しないままに70分が経過。
最後に登場したのは天女。
これ本当に男性なのか??? と衣装を引っぺがしたくなるも
なんとか思いとどまる。
(犯罪だし、天女が戻れなくなるしね~)
しーんと静まりかえる場内のあちこちで
ご祝儀を回収して(笑)天女は天に戻っていった。

というわけで、人生初の『大衆演劇鑑賞』終了。
いやはやいいものを見せていただいた。
宝塚には嵌まらなかったが、大衆演劇の女形には嵌まりそうな私。
ようするに、根本的に男が好きってことか? と迷いつつ
明治から続く鉱山町、小坂町をあとにした。


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弾丸ツアー再び ② [日常]

車は走るよどこまでも。

樹木の美しさを語るとき
あるいはそれを観に行くとき
紅葉を選ぶか新緑を選ぶかはそれぞれであるが
私は圧倒的に新緑派である。
(単に緑色が好きなだけかもしれない)
かねてより東北(奥入瀬)に行きたいと思っていたが
行くなら新緑の季節にしたいとも思っていた。
幸い機会を得て赴いた奥入瀬は見事に新緑の季節
(幾分新緑と言うには遅めかもしれないが)
滔々と、なんて静けさとは無縁、怒濤の流れと
木々の美しさに感無量だった。

正直、奥入瀬という場所は私が住むところからは
かなり行きづらい。
新幹線は北海道まで通じていても
その最寄り駅から奥入瀬までが長い。
今回私が降りた空港からですら車で二時間近くかかるのだ。
それでも行った。
遥か昔、1000ピースのジグソーパズルで作った風景が
本当に現存するのかこの目で確かめたかったから……

空港から二時間、駐車場から1時間近く歩いて
辿りついた奥入瀬渓流の阿修羅の流れはまさにパズルのとおり。
私がパズルを作ったのは四半世紀以上前なのに
寸分変わらぬ豊かな緑と水の流れがそこにあった。

誰もがどこかで見かけたことがあり
「あーあれね」と頷く風景を見に行く旅。
風景に限らず、絵でも、人でも、なんでも
映像ではなく、この目で見る。
「あーあれね」を「これがあれか」に変えるための旅は
ちっぽけな私の人生をほんの少し輝かせる。
生きててよかったなあ……なんて思わせてくれる。

奥入瀬を二時間ほど歩いたあと
レンタカーを駆って八甲田山へ。
六月だというのに雪が残る山肌に
無謀かつ無能な指揮官の下、失われてしまった命を想う。
しばし瞑目のあと、案内所の方の助言に従って青森へ。
実は夕食を弘前でと思っていたのだが、青森のほうが近いとのこと。
弘前城が見たかったためしばらく迷いはしたものの
なんせ私は稀代の端っこ好き(意味不明)
青森は本州の端っこだからやっぱり見ておきたいということで北上。
その時点で、時刻は16時。
これは夕食を取るだけで終了だろうな、と諦めつつ青森市に到着すると
なんとまだ三内丸山遺跡に入れる時間……
(てか……どんだけぶっ飛ばしたのさ、秋川)
これ幸いとだだっぴろい遺跡内をあっちにいったりこっちにいったり
途中で「蛇が出ました」なんて注意書きを見て
それは巨大なのか、それとも毒蛇なのか? そこんとこ詳しく! などと突っ込みつつ
これ以上歩けぬ、と悲鳴を上げる足に従って見学終了。

その後、青森港を見下ろせるビルで夕食。
まだ18時にもなっていない時刻だったため店内は閑散としていて
これまた幸いと、お茶を運んでくれた店員さんにおすすめを確認。
「海鮮丼がよくでますねえ」と東北独特のイントネーションで言われ
素直に注文。
陸奥湾を見下ろしながらいただいた新鮮な魚介類たっぷりの海鮮丼は
よくここまできたね~と褒めてくれているような味だった。
惜しむらくは車だったためにお酒が飲めなかったことだけど
車だったからこそ重さを気にせずお酒を買うことが出来たのだからよしとする。

ということで、その後また二時間かけて十和田湖にもどり
宿の露天風呂で汗を流した。
お土産に買ったビールを飲みたいと思う間もなく爆睡。
かくして本州の真ん中あたりから端っこまで移動した1日目終了。
いつもながら実に忙しい旅である。(つづく……たぶん)

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弾丸ツアー再び [日常]

東日本制覇。

本当は違うところに行くはずだった。
とある作品の取材のために、某男子高校生大騒ぎの話を
大車輪で書き上げ、無理やり一泊二日の時間を空けた。
ところひょんなことからその取材の必要がなくなってしまった。
単なる観光として行く手もあるが、それなら別にその地に行くことはない。
なぜならその地は、実は私の父方の本家があるところで
幼少のころからの縁の地だったからだ。
だからこそこの地の話を書きたかったのだが
まあそれは次の機会を待つということで……

書けなかった物語を思いつつの旅はあまりにも辛いし
せっかく開けた日程、無駄にするのも悔しいので旅に出ることにした。
行く先なんて考えるまでもない。
前回の記事でも触れたが、今年の私の目標は東北と九州。
五年ぐらい住んでいたから冬の東北の厳しさは知っている。
できればちょっと遠慮したいし、東北の新緑は必見。
かくして行き先は東北と決定し、宿やら交通手段の検索開始。
最近は新幹線が便利になったので東北だって楽勝だ!
なんて気軽に考えていたが、やっぱり距離は距離。
一泊二日で回れるところなんてたかがしれている。
うむむ……となっていた私の目に飛び込んできたのは飛行機プラン。
要するに朝一番でばびゅーんと東北に飛び
翌日の最終便で戻ってくる。
宿とレンタカーまでついたプランのお値段は
新幹線を使う場合よりもレンタカー分だけ安い。
新幹線ならどう頑張っても昼過ぎにしか着けないのに
飛行機なら朝の10時には現地入り……
迷うことなく予約ボタンをクリックし
ホテル、飛行機、レンタカー、すべての手配が五分で終了。
ああ、旅をするのも本当に楽になったなあ……としばし感動。

ということで、一昨年の出雲に続く飛行機&レンタカーの旅に出発。
目指すは東北、本州の端っこ。
天気予報は雨だけど、なあに私は天下の脳天気、もとい晴女
そんなに心配することもなかろう
とばかりに鼻歌交じりに出かけた先の風景はこちら。

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おや……ここは本州の端っこじゃないのでは?
とお思いの方は大正解。
私が行きたかった場所は、ここ(秋田)から入ったほうが
近いってことらしい。
秋田もちゃんと見たことがない私としては一石二鳥。
ほけほけと喜びつつ車を借りて一路北へ。

自宅の最寄り駅を出発したのは午前7時。
羽田経由で秋田に着いたのは10時5分。
お天気はこんな感じ、晴れ女の面目躍如。
ここから一泊二日の大移動が始まった。(つづく……かなあ)

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理想と現実 [日常]

こんなはずでは……

自由気ままに旅をしたい。
あるいは必要以外の買い物をしたい。
常々そう思っていてもうまくはいかない。

私の今年の目標は
なんとか原稿をやりくりして休みを作り
東北と九州のとある場所にいくことである。
そして、物書きとしてなんとか五年生き抜いたご褒美に
ちょっとよさげな腕時計をひとつ買おうとも思っている。

ところがぎっちょんちょん。

原稿をやりくりして時間を空けたらそこに仕事が入ってくる。
もちろん、これは受けた私が悪い。
断固として、一作に三ヶ月は取る、というポリシーを貫けばいいのに
もしかしたらなんとかなるかも……とか思う馬鹿さ加減のおかげで
繰り上げても繰り上げても時間ができない。
そのうちストレスに耐えきれなくなって
えーい、旅に出るぞ! となったとしても
行き先はことごとく取材がらみ……
目指すは東北や九州だというのに
実際に手配するのはそのどちらでもない場所への電車だったりするのだ。

時計にしてもしかり。
先般、某通販サイトでいわゆる『ブランド時計』のバーゲンセールがあった。
それをきっかけに、これがいいかな、あれがいいかな、と物色をはじめ
自分の好みに合う時計を見つけたりもした。
それなのに、ああそれなのに、それなのに
さてさてと思った私の目に飛び込んできたのは
スティックタイプの高性能掃除機。
そう、あの、大変賑やかな外国製のあれでござる。
新型がでたせいかどうかはわからないが
一日限りの大特価セールとか銘打たれ
気付いたときには注文確定ボタンをクリックしていた。
大特価でも今私が使っている掃除機より遥かに高価
このうえ時計なんて……とか思ってしまう。

旅も買い物も思い通りにならない。
結局、要望は要望、必要には勝てないのだなと
遠い目になる。
それでもほしかった軽い掃除機が買え
旅に出られる身を喜ぶべきなんだろうけど。



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この体型には理由がある [日常]

なんのこっちゃ……

物書きというのは人に誇れるようなものではなく
一個人としても人に誇れる長所は皆無、あるとしたら
根拠不明の自惚れぐらいだ。
親族家族に迷惑もかかるしので
極力露出しないように心がけている。
というか、そんな暇があったら一行でも書くし
遊ぶなり、休むなりしたい(こっちが主)
なんとかして再来年までスケジュールが埋まっている状況から
脱しないと、人生の楽しみというものと無縁の生活になるし
それではろくなものが書けない。
(そうでなくてもろくなものは書いていないが、そこにつっこまれると
ただちにパソコンをぶっ壊してふて寝しそうなのでご勘弁)

そんなこんなで私を『秋川滝美』と認識して話す人間は
世間にそんなにたくさんはいない。
家族とごくごく一部の友人・知人と出版関係者に限られる。
(ちなみにこれはリアルの話、webを通してならもう少しいらっしゃる)
そしてそんな方々から一番よく受けるのが次の質問だ。

『これ全部、本当に呑んで(食べて)るんですか?』

えーっと……
あなた様は秋川滝美を過剰評価していらっしゃいませんか?
私が、呑みもしない食べもしないものについて
想像のみで書けるほど優れた想像力や描写力を持っているとでも?
そして、この体温が高そうな(実は低い)ぬいぐるみを思わせるような
フレンドリーな体型が霞を食って生じたとでも?

だとしたら、ご期待に添えず申し訳ありません。

不肖、秋川滝美、作品に登場させた酒や料理はすべて飲食しております。
他の方よりもずっとデビューが遅かった上に
中学生のころより家事要員だったおかげで
いわゆる「うちのご飯」を作ってきた時間は長い。
成人してから親になるまでの時間もそれなりにあったので
酒についてもずいぶん呑んできた。
その蓄積を元に、興味が持てそうな酒や料理を探し出すことはある。
だがそれをそのまま筆にのせるなんて業は私には使えない。
酒屋に走り、通販で注文し、かならず一度は我が舌で味わった上で
これなら……とならない限り、文字にすることはないのだ。

毎日毎晩呑んだくれているわけにもいかず、
試さなければならない酒は次々でてくる。
料理ならば、一度作って食べればOKだし、家族だって食べてくれる。
でも酒、特に日本酒はたいてい四合が最低量。
一合二合試し飲みして、そのままに冷蔵庫に突っ込まれたままの酒瓶が
いったい何本あることだろう。
業務用の冷蔵庫を含め、我が家には冷蔵庫が三台あるが
そこから酒が消えれば、どれほどすっきりすることか。
それでもなお、新しい話を書くために新しい酒を注文する。
美味しいかどうかわからない料理を作り続ける。
しかも試飲が先行して、好きなお酒に出会ってもリピートできない。
そんな生活が五年ぐらい続いているのである。

おかげさまで、もともとフレンドリーだった私の体型はさらに膨張。
せっせとプールで水中移動を繰り返しても
腹囲は某名前も書けないレジャーランドに生息する
黄色い熊さんとタメをはれるほどのサイズなのだ。
空気を吸っても太るなんて嘘ですからね!
人間は食べたから太るんです!
と自分にいいきかせても、『でもこれ仕事だから』と言い返す秋川滝美。
まったくね、どうしようもない。

というわけで、よくある質問への答え。

全部呑んで、全部食ってこそこの体型です。
食材の分量が詳細に書けず、ときおりとんでもない間違いをしでかすのは
真性すっとこどっこいだからです。
加えて料理を作る基本が『目分量』でまともに計量機器を使ってないせいでもあります。
(ついでにお酒については、蔵元さんが目指すイメージとコンセプトを
守ろうと努めた結果です)
もちろん、基本的に秋川が味覚音痴である可能性も否めませんが
資料だけを頼りに書けるほどすごい筆はありません。

以上、デブの言い訳。
そろそろ、自分の楽しみとしての食を取り戻したいなあ……



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救いの人間ドック [日常]

全面パスより遥かにマシ。

メンタルがお子様と言われればそれまでだが
私は食品以外の嚥下が大変へたくそだ。
というよりも、絶望的に出来ない。
薬は粉、錠剤の如何を問わずオブラートに包まないと飲めないし
ドリンクタイプはまず飲めない。
薬っぽい、という意味で野菜ジュースもいまひとつだし
青汁なんてもってのほか(これはちょっと意味合いが違う?)
そんな私なので胃腸の検査は二の足どころか八とか九の足を踏む。

過去に二度、胃カメラを飲んだが
一度はアニサキスに進入された疑いがありやむを得ず
二度目は胃痛を起こして駆け込んだ病院で悪魔のように検査好きな
医師(イケメン)に拉致されて……
どちらも胃カメラか清水の舞台から飛ぶか、と問われれば
鉄板で清水ダイブを選ぶ心境だった。
バリウムに至っては、未だかつて飲んだことはない。

こんな具合なので、健康診断は特定健診がせいぜい
人間ドックは不可能だと思っていた。
なにせ、人間ドックは胃カメラもしくはバリウム必須だったし……

ところが、先日誕生日を迎えるに当たり、自分の年齢とじっくり向き合った結果
「やっぱり検査とか受けないとやばいよねえ……」
という気持ちになってしまった。
(まあ、具合の悪いカ所がふたつみっつあるせいもある)
昨冬、これまた医師に叱られて(悪魔の検査好きとは別人、でもイケメン)
特定健診というのを受けたが、これでは網羅できない場所が多すぎる。
特に女性器官については全面的にアウト、年齢的に危険は日々高まる。
ちょっと見てみるか……と目の前のお利口さんな箱に訊いてみた結果
『胃カメラ、バリウムが苦手な方向けのレディースドック』なるもの発見。

なんという秋川仕様! と大喜びで詳細熟読してみたら
『胃カメラ、バリウム』の代わりにABC検査をおこなうらしい。
ABC検査というのは、要するにピロリ菌の有無と胃の萎縮状態のみを調べる血液検査。
麻酔薬、ガス抑え、バリウム、カメラ含めてとにかく口から何も突っ込まない。
ただただ血を抜くだけである。

よっしゃ、任せろ。経口投与は苦手だが、血液検査は大得意。
不肖秋川、新人ナースばっちこいの極太血管保持者なのだ。
人間ドックは受けた方がいい、でも胃カメラ、バリウムは……
とここ十年以上、うだうだしていた私にとってこれ以上の朗報はない。
勢いに任せて受診を決定し、その場でweb予約を済ませた。
(まあ便利な世の中ですこと!)

もちろん、胃の検査はカメラあるいはレントゲンのほうがいい。
そんなことは百も承知だ。
でも、それが苦手なために、その他の検査項目を全部パスするぐらいなら
胃関係の検査精度が半分になったとしても(いや、詳しくは知らない)
この抜け道ありの人間ドックを受けるべきだろう。
惜しむらくは、胃カメラかバリウムが入っていないと健康保険組合の補助がおりず
全額自己負担となりそうなこと。
でもまあ、どこかが痛くなるたびに『重大疾病?』とおびえるよりは
さくっと調べてもらったほうがいい。
万病の元といわれるストレスがてんこ盛りの身だしねえ……

ということで、人生初の人間ドック。
がんばれまけるな秋川滝美! なのである。




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復帰宣言&刊行予告 [日常]

いかんなあ……

一月から始まった入試騒動のせいで
見事なほどに執筆が滞っている。
幸い、この展開を見越して余裕のあるスケジュールを組んでいたので
うおおーー! 一日三万字書かなければ〆切に間に合わん!!
なんてことにはなっていない。
それどころか、本来夏に書こうとしていた原稿を前倒しできるぐらい
のんびりゆったりスケジュールになっている。

にもかかわらず、この不安というか焦燥感はなんだろう。
二月末に居酒屋話の次巻原稿をUPしてからおよそ一ヶ月
校正、改稿作業は入ってきているものの、執筆自体をしていない。
新しい物語を一行も紡がずに一ヶ月が過ぎたなんてデビュー以来初めてのことだ。
脳内で蹲る登場人物たちを「とっとと動け!」と蹴飛ばすこともなく
本筋から遠く離れて駆けていく奴らを無理やり呼び戻すこともなく
あまつさえ、家事に勤しむこともなく……
正直、そんな生活はとても楽だ。
いつもならあまりにも遠くてパス、ですませる彼岸の墓参りとかにも
ほいほい出かけていける。
でも、そんな生活が一ヶ月近くなると
このまま書けなくなるのでは……と怯え始める。
つくづく小心者だと呆れ果てるが、物体の運動を維持するエネルギーよりも
止まっている物体を動かすエネルギーのほうが大きそうだ。
(物理は赤点なので定かじゃない)
そろそろちゃんと書かねば……と思った矢先に
某通販サイトから流れてくる予約情報……

うわ! これもう予約開始してるんだ!!

いかんいかんいかん、ストックがなくなる! 書かねば!!!

ということで、秋川、四月一日(微妙に甘いな)より物書き復帰。
怠け癖は成層圏の彼方にぶん投げ、毎日きっちり執筆することを誓います!

ちなみに予約が開始されているのは百貨店話、
どちらさまもよろしくお願いいたします。



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刊行予告

  『幸腹な百貨店 デパ地下おにぎり騒動』(講談社) 5月11日刊行


   バブル世代のおっさんデパートマンが、地下に人気おにぎり店を誘致せんと
   頑張る話です。
   お? と思われた方は、ぜひぜひ各通販サイトをチェックしてやってくださいませ!


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