飛露喜（廣木酒造）との再会

そろそろモード切替。

もう随分前に吞んだ記憶しかなくて
ずっと探していたお酒がある。
探していたというか・・あるところはわかっているのだが
なかなかタイミングが合わずにすぐ売り切れて
入手することが出来ずにいたお酒である。

拙作の中にも書いたことがある『飛露喜』
福島県，廣木酒造の醸す酒である。
福島の酒は同じ東北である新潟のあっさりした味わいとは異なり
いかにも存在感のある味を持っている。
口に含んだ瞬間、高い香りと上品な甘さが広がり
これぞ日本の米の酒、という感じなのである。
基本的には淡麗辛口を好む私であるが
この飛露喜だけはちょっと別格で，大変気に入っている。

ところが同じように感じる方がたくさんいらっしゃるらしく
近年、特に首都圏では本当に手に入れにくい酒となってしまった。
ネットで検索してもどこもかしこも売り切れ続出で
密かにため息をつく日々だったのだ。
その大好き、かつ懐かしい酒に意外なところで出会った。

それは私がたまにお邪魔しているお寿司屋さんでのことだった。
もともととても丁寧な仕事をする職人さんが
ほとんど趣味みたいな感じでやっている店なので
今まではランチぐらいでしかお邪魔できなかったのだが
今回子どもたちの卒業祝いということで初めて夜にお邪魔した。
夜だから少しぐらいは良いよね・・・・？
と夫婦で顔を見合わせて
『お酒何がありますか？』と聞いてみたら
奥の冷蔵庫から何本も一升瓶を出してきて
『お好きなのをどうぞ！』ときた。
その中に『飛露喜』を見つけたときの喜びといったら・・

『ひ・・・ひろきだーーーー！！』

と素で叫んでしまった。
店主は温い眼で見るし、奥様は苦笑いをなさるし・・
それでも私の興奮は冷めやらず
しばらく「ひろき・ひろき・ひろきーーー！！」と踊っていた。
あきれ果てる夫をよそに、たっぷり注ぎこぼして貰った杯に
そおーっと口を付け、本当に少しだけ口に含んだ。

あーーーこれ、これ、この甘み・・・
これ以上甘かったらちょっとしつこい。
ここが限界、という見事な線引きぶりの甘さ。
胃の腑にしみわたる，とはこのことだった。
酒に合わせて出される肴や寿司の見事さが
さらに『飛露喜』の味を引き立てたのはいうまでもない。

そうかー君はこんなところに居たのか！
これからはここに来れば君に会えるのか・・・
しかもこんなに美味しい料理とともに味わえるんだね・・
とか，喜びまくっている私の横で
夫が冷たく水を差す。

そんなにちょくちょく来られないよ・・・

はい、そうでした。
夜のお寿司屋さんなんて，異例中の異例
私たちには本来足を踏み入れては行けない場所
ダブル受験の功労賞ででもなければ御法度。
でもね、ここに来れば会えると思っているだけで十分。
美味しいお酒と美味しい料理。
私の労働意欲を支えるのはこの二つに尽きる。
それを味わうためにまた頑張って働こうと思えるのだ。

ということで、不肖秋川滝美。
飛露喜との再会によってシフトチェンジ。
どっぷり浸かっていた母親モードに別れを告げて、
そろそろ本腰入れて物書きモードに復帰宣言。
さーて、がんばって書くぞー！！
と思った瞬間、外で嵐が吹き荒れているのは何故かしら（爆）








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コメント 3

そこに行けば会える・・・
Field of Dreams じゃないか。と思ったのは私だけでしょうか。
先日呑んでたバーカウンターのとなりの女性と酒談義になり、「ヒロキは美味しかった」と呟いていたので、岩手だっけ？と尋ねたら「福島だよ」と叱られた。もしや・・・
おめでたい事があった時は少しは奮発していいですよね。
by ＨＣのＳ (2014-03-13 22:15) 

おー、秋川さんがモードチェンジした（笑）
新刊楽しみにしてます！
それにしても本当に今日雨風がすごかったですね・・ 秋川さんを応援しているのでしょうか？(・・;)
by Gest (2014-03-13 22:39) 

HCのSさん

ははは・・そういえば（爆）
それは本当にお酒の名前でしたか？
弘樹とかいう美少年をお持ち帰りしたとか？
それならその女性は私です（大嘘）

Gestさん

モードチェンジしようと思ったのに
実際には娘の塾のガイダンスに借り出され
夫が赴任先で使う車の手配に追われ・・
ようやく編集担当さんと打ち合わせが出来たのは
夜も更けてからでした・・・orz
by 秋川滝美 (2014-03-14 23:42)