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恋愛小説家なりそこね [日常]

失敗したんだろうなあ・・・・

いい加減な夜食1の文庫化に当たって
当然のことながら原稿の見直しをやった。
あの話をWebに掲げたのは2012年の春、三年前のことだ。
物書きになる前に書いた話を曲がりなりにも三年物書きをやったあとで読むと
これはもう赤っ恥以外のなにものでもないと感じる。
それでも、文章のあちこちからあの話を書いたときの勢いがあふれ出て
ああ、私はあのころ、本当に楽しんで書いていたのだな、と痛感する。

誰に見せることも考えず
私自身のためだけに
同じシチュエーションの話を書き続けていた。
デビュー前にWebにあげた4話が
ワンパターンだと酷評されるのは当然のこと。
そのように書きました、としか言いようがない。
それが楽しかったから書いていました、
ワンパターンの恋愛小説を書くのが好きだったのです、と。

けれど、商業作家の端くれとなって三年近くが経ち
状況は大いに、自分でも驚くほど大いに変わってしまった。
私は今、あれほど楽しんで書いていた恋愛小説を書けずにいる。
書けばいいじゃないか、と言われるのを承知で言い訳をすると
目の前の原稿を片付けるのに精一杯になっていて
恋愛小説を書いている時間も気持ちのゆとりもないのだ。
そして目の前の原稿はどれもこれも恋愛がメインではない。
かつてゲロ甘(失礼!)恋愛だった話も気が付けば恋愛は二の次。
いくつかお話を頂いたものも、皆同じである。

私はもう認めるしかないのかもしれない。
秋川滝美は恋愛小説家としての需要を持たない。
物書きとしての需要がないとまでは言えない。
(辛くて言いたくない/苦笑)
でも、秋川滝美に新たな恋愛小説を書いてくれという依頼はない。
書店あるいは古書店のハーレクインコーナー前にいる
妙齢のご婦人達を根こそぎ引っ張ろうという作戦は見事に失敗。
書きたい物と望まれる物が違う。
望まれないよりも遥かにましなのだと自分に言い聞かせてもため息は止まらない。
実に、実に、苦しい現実である。
















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コメント 17

お名前(必須)

より売れるものが優先されてしまうだけで、需要がないわけではないと思います。秋川先生の小説の中で私が一番好きなのは「ありえないシナリオ」です。
by お名前(必須) (2015-02-25 12:32) 

ゆず

商業作家で居続ける必要があるのでしょうか?
書きたいものを書き続けて今があるのなら、書き始めた頃に戻ってみたらどうでしょう。または、商業作家としての作品と、自分の趣味とを分けてみたらいいのかも?
趣味を続けているうちに、新しい方向が見えるかもしれませんよ。
最近、謀殺されているみたいだし、息抜きも必要でしょうね。



by ゆず (2015-02-25 19:36) 

ムジナ

はじめまして。ネットのころからひっそりと拝見させてもらっているのですが、同じようなジレンマを抱えておられるのを見て、思わず書き込みを・・・
当方、同じ業界の片隅にひっそりと生息しておりますが、秋川さんとは逆に恋愛物にしか需要がありません。違う物が書きたいなぁ、と思ってもまずは恋愛ありき、なければ企画も通らないありさまです(苦笑)
書かせてもらえるだけで御の字、楽しくないわけじゃありませんが(自分が楽しくないと書けない質なので)、書きたい物と書かせてもらえる物が違うのは実力のなさを痛感しておちこんだりもします。
とはいえ、この矛盾を解消するには自分で努力を続けるしかないわけで・・・諦めないでやっていきましょう!

最後になりましたが、近日発売のぼったくりはもちろんのこと、目処のたたないという夜食の続きも楽しみにしています。
by ムジナ (2015-02-25 20:23) 

高遠

商業漫画家さんたちが同人誌でも活躍するのは、商業では描きたいものが描ききれないという思いがあるからだと思います。

というか。

漫画になってんじゃん!!!!と声を大きくして言いたい。(書いたけど)
恋愛物、好まれてますやん。
ぼったくりの光が強烈過ぎて、きっちり輝いている恋愛物だというのに……おちゃめさん。

ちなみにハーレはねえ、それこそおんなじ話のオンパレードですよ。(500冊くらい読んだ中でどれほど同じ内容のものを見つけたか……)
恋愛物、王道どんとこい!(なんのこっちゃ)

by 高遠 (2015-02-25 22:01) 

秋川滝美

2015-02-25 12:32 に書き込んでくださった方

「あり得ないシナリオ」は全ての出発点のような話です。
ある意味、一番私らしいのかも・・・
それを気に入ってくださって私としてもとても嬉しいです。
でも、恋愛よりも他の話のほうが優先されるってことは
やっぱり私の恋愛話はイマイチだってことじゃないかと思うんです。
おそらく夜食その他で頭を打ったんだろうなあと・・・

ゆずさん

今引き受けているものを全部片付けたら、趣味として書くのも
いいなあと思います。でも今は、目の前の物を片付けずに
趣味の物を書くほど余力がないというのが実情。
いい気になって引き受けすぎたのを反省しております。

ムジナさん

恋愛に限らず『○○ばっかり』というのは辛いですよね。
書く物全てが『これどこかで書いたんじゃない?』みたいに
思えてきます。
でもそう思っているのは私だけではないと知って
すこし元気が出ました。ありがとうございました。

高遠さん

そうなんですよ・・・漫画になってるんですよ。
過去に書いた物まで否定する気はありません。
問題は未来に向けての需要がない、ってことです。
恋愛を書かせるよりも食べ物をかかせたほうがマシ
つまりそう言うことなんだと思っております。(涙)
ハーレクインの中毒性を出すには私はあまりにも中途半端
なんでしょうね・・・(ため息)

by 秋川滝美 (2015-02-25 22:52) 

りこ

「ぼったくり」が食と人情メインとなり、秋川さんにそういう作家さんのイメージがつくのは、今まで「ぼったくり」ほどお酒と食べ物についてしっかりと描写した小説が女性向けレーベルから発表されたことが無かったからかもしれませんね。
池波正太郎さんのエッセイ並みの食と酒の密度(笑)で、より気軽に楽しめる小説、という独自のジャンルを開拓することになったのでは。
私はネットの頃から読ませていただいてますが、秋川さんの恋愛もの、すごく好きです!
商業作家としてのご活躍を経て、これから書かれる恋愛ものを楽しみにしたいと思いますし、お好きなものを書けるようになっていただけたらと、いちファンとして祈っております!
by りこ (2015-02-26 12:04) 

ヒロ

アルファポリスのホームページを見ていて、「いい加減な夜食」の売上ランキングが1位だったので、試し読みをしました。とても続きが気になったので、ほかの小説も検索し、今、出版されている色々な本を取り寄せています。届くのが楽しみですが、恋愛ものそうでないもの、色々なジャンルで楽しませていただければ嬉しいです。
by ヒロ (2015-02-26 16:35) 

mino

片付けなきゃいけない目の前のものに追い詰められていらっしゃるのかな。リビングと玄関とトイレと風呂の掃除(しかも手抜き)に疲れて寝室の読み散らかした本の片付けまでできない私の生活・・・、共通するような・・・・違うって怒られそう・・・
じゃなくて。
新作のゲロ甘の恋愛、確かに読みたいです。でも、今は、その時ではないんじゃないかな。そのためのネタを溜め込む時間だと思いますよ。
だって、秋川さんのあの怒涛の連載アップの勢いは、ストックもあったかもしれないけど、もうとにかく何をおいても「打つ!」「叩く!」「上げる!」とお見受けしました。今は「練る」「練る」「練る」のグルグル?
心配なさらないで。ゲロ甘の為のネタ仕込み、そのうちに満杯になって絶対に溢れ出ますよ。両手を顔の前で組んで両目をパチパチさせて、そのおこぼれ、ちゃんと待ってます。
by mino (2015-02-26 21:31) 

カメコ

なろうの時から愛読してますが、夜食も、チョコレートも、もちろんぼったくりのふたりの砂糖過多シーンにニヤニヤしながら毎回読んでましたよ♪♪。そんな話を自分は期待しているのですが。

お仕事ととなると、やりたい物=望まれてる物では中々ないんですね...。お忙しい見たいですが、お身体ご自愛くださいませ。
by カメコ (2015-02-26 22:36) 

足立sunny

こんにちは。
やっぱりあの文章を読んでしまうと、砂糖のシロップつけの恋愛小説限定はなんとも惜しい、と、編集の皆さんも当然思われるのだろうなあ、などと思う次第です。
山本一力ぐらい書けるでしょう、いや、人を引き合いに出すのではなく秋川滝美として全国読者の前に打って出るべき文才だと。私は、かなりの乱読者だと思いますが、秋川節、かなり好きですけれども、ですね。
秋川さんには申し訳ないですが、当初から、飛躍的な新ジャンルを熱望している口です。
アナ雪みたいの、いかがです?
by 足立sunny (2015-02-27 09:37) 

ゆうのすけ

=☆ [居酒屋ぼったくり3]無事刊行おめでとうございます!☆=

本日19:06 いつもの書店にてゲット出来ました!
しばらく就寝前の枕もとの楽しみにさせていただきます。☆
本日の某書店情報 私の何時も行く M書店T店では購入時点で 7点が並んでいました。私が一冊購入したので その時点での在庫は6冊。
今日 10冊くらい入荷したものと推測されます。

今作も 第二弾に引き続き ~☆ 大ヒット祈願! ☆~
by ゆうのすけ (2015-02-27 20:01) 

FSX

やたー3巻サイン本ゲット!と呑気なファンがここにおります。
失敗と判断するのは、早いと思いますけど、好きな物が書けないというジレンマ、お察しいたします。サイン本ゴリゴリ書いている時間も、大変だったかと思います。
そんな時の迷言「心に棚を作れ!」(謎)
by FSX (2015-02-28 16:32) 

ちょむ

こんにちは。ご無沙汰しております。
私は夜食書籍化の折に秋川さんの存在を知り、ネットにある小説を何度も読み返すほどどっぷりハマってしまった一人です。
…っというか秋川さんの高糖度の恋愛小説じゃないと満足できない体です!! どうしてくれるんですか!と言いたくなるほどに!(笑)
大丈夫です!恋愛小説家としてのニーズはあります!!ここに!
他の方も書かれていますが、秋川さんを恋愛小説だけに留めておくのは惜しい人だと思われるからこそ、恋愛以外のお仕事もやってくるのだと思います。私も激しく同意します。
今書いているものが恋愛物以外でも、いつかそれが書きたいものを書く時の肥料になったりステップになったりするかもしれません。
書き続けている限り、作戦は失敗ではなくまだ実行中ですよ!
そして私は秋川さんを追いかけ応援し続ける所存です!
今夢に見るのは甘々だったWEB版ぼったくり…I need more 糖分!(笑)
お忙しいことと思いますが、お体と心の健康にはくれぐれもお気を付け下さいませ。乱文失礼いたしました。
by ちょむ (2015-03-01 00:45) 

百日一香

初めてコメントさせていただきます。
作品、とても楽しく読ませていただいております。
『あり得ないシナリオ』が初めての出逢いでした。
それから『ありふれたチョコレート』や『いい加減な夜食』なども知り本屋に走りました。
あなたの恋愛小説大好きです。もっともっと読みたいです。楽しみにしております。
by 百日一香 (2015-03-03 02:48) 

HCのS

私の田舎のソウルフードは味噌味です。
ですが、そこは豚汁とは違い入れる具材は厳選します。出汁は味噌と具材から出るのでだし汁などは不要。むしろ出汁が出過ぎるとくどくなります。ちなみに上流の物は肉じゃが風味に感じてしまいます・・・
あ、芋煮の話ね。
B、なるほどこれは延々と続くのですね。オリジナルの茶がゆのシーンが好きでしたが、この調子だとまだまだ先ですね。
by HCのS (2015-03-03 20:20) 

とも

私は、秋川さんの生クリームの
中で埋もれるくらいの甘い話が
大好きです!
今すぐじゃなくても甘甘なお話
待ってますよ!!
ちなみにぼったくり3、本日ネット店より
送られてきて早速母に
取られました(−_−;)
恋愛じゃなくても早く読みたい!!
by とも (2015-03-03 21:20) 

秋川滝美

りこさん

好きなように書けるというより求められるように書けなくては
いけないんだろうなあ・・・と思います。
気持ちの上でも負担に思うことなく、オーダーと旨く折り合いをつける。
それができてこその商業作家、私はまだまだなりきれない。
つまりそう言うことでしょう。日々精進ですね(ため息)

ヒロさん

あのランキングを見て読もうと思ってくださる方もいらっしゃるんですね。
なんかちょっと嬉しいです。ありがとうございます。
夜食とチョコレートは設定丸被りだと悪評高いですが
お楽しみいただけると幸いです・・・ううう。

minoさん

ちょっと練りすぎてるような気がしています。
もっと昔みたいに、さらーっと書き流していいんじゃないかと。
自分で自分の持ち味を殺しつつあるんじゃないかと
大きな不安に襲われています。
でも、仰っていただいたように、
今のこのぐるぐるが(笑)いつかきっと実を結ぶと信じて
頑張りたいと思います。

カメコさん

物書きの大半は、こういう風に書いてくださいと言われて書いている.
そんな気がしてきました。
書きたいように書いてそのまま出せるのはいわゆる文豪という
ほんの一握りの人達だけだと・・
そうやって書いて、本にしていただけない方もいるのですから
書いたはしから出版してもらえる私が文句を言うのは罰当たりですよね。
反省すれど改善なし・・・ですけど。(改善しろよ!)

足立sunnyさん

そうでしたね・・・足立sunnyさんは、最初から恋愛以外のものを・・
とおっしゃってましたね。居酒屋話とそれ以外を見比べると、
足立sunnyさんのご意見はメジャーだったのだと思います。
私自身がマイナーな人間なので、ついついマイナーに寄りたくなりますが
経済効率を考えたら断然メジャーを書くべき何でしょう。
さっさと割り切るのが一番なんですけどね、なかなか・・(ため息)

ゆうのすけさん

いつも真っ先にご購入いただいてありがとうございます。
丸善さんはいつもたくさん入れてくださって嬉しいです
きっとゆうのすけさんが販売実績を造って下さって
いるからでしょうね・・・足を向けて寝られません。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

FSXさん

いつもお買い上げありがとうございます。
サイン本・・・もう本当に大量に書いたんですよ。
でも、既にあちこちの書店さんに配布してしまったらしくて
またお願いしまーす、なんて電話を頂きました。
秋川サイン本デフレ状態ですよ・・・もうちょっとレア感を
だしてもいいんじゃねえの?なんて苦笑いしています。

ちょむさん

私自身、恋愛以外のものを書いてみたかったのは事実です。
でも、これほど顕著な逆転現象が起こるなんて
思っても見なかったんです!もしもわかっていたら
あんなに調子に乗って何十回も連載しなかったのに・・・
まだ本にしていない原稿の文字数を考えると目眩がしそうです。
ああ、私がベタ甘恋愛に戻れるのはいつのこと!?とか咆哮。
気長にお待ちいただけると幸いです。

百日一香さん

素敵なお名前ですね・・・
それはさておき、私の恋愛話を気に入って下さって
ありがとうございます。
私もあんな話をまた書きたいです。
今は本当に、しみじみとそう思います。
いつかきっとあのベタ甘恋愛に戻りますので
待っていて下さると嬉しいです。

HCのSさん

実は「茶がゆの甘さ」は大ピンチでした。
あやうく削除されるところだったのです。それを阻止するために
3巻丸々書き下ろしという苦行が始まりました。
Bにおける茶がゆの甘さの重要性はWeb版を読んでくださった方ならば
きっとわかってくださるでしょう。
おかげでスケジュールは大変なことになり
私自身体も心もぼろぼろとなっておりますが
それでも茶がゆの話を失うなんて耐えられなかったのです。
そんな想いで死守した『茶がゆの甘さ』は4巻収録予定。
試合に負けて勝負に勝ったと私は信じていますが・・・

ともさん

あいかわらずお母様との争奪戦は続行中ですか
書いたものとしてはとても嬉しいです。
お母様にもくれぐれもよろしくお伝え下さいませ。
少しでも甘いほうにもっていけるよう今後とも戦う秋川ですので
引き続きよろしくお願いいたします。

by 秋川滝美 (2015-03-03 22:16) 

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